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私を助けてくれるありがたいヒト [雑感]

月曜の午後、私の職場のPHSが鳴りました。
電話の向こうは大手町にある某新聞社の編集局で次長をされている女性記者のNさんでした。

Nさんは、ものすごく怒っていました。私は、初めはなぜ、このヒトはこんなに私のことを怒っているのか理解できず、でもなにせ、相手が新聞記者なので、いつもの(職業柄の)自己防衛本能で、役人答弁(相手のいうことをすぐに認めてはいけない。決して謝ってはいけない。やりますとコミットしてはいけない。)を繰り返していました。
そのうちNさんは、「私は、ゆこさんのことが心配でしょうがないから、仕事中だけど、今、電話してるのよ。あなたはともかく夜、ちゃんと寝なさい!」と、私が「わかりました」というまで、何回も繰り返していました。

Nさんと知り合ったのは、あるセミナーがきっかけです。司会をしていて超カッコ良かった女性記者のNさんとお知り合いになりたくて、フリータイムの時に、名刺交換させていただき、私の方からメールを送りました。
実は、Nさんは、今年10月に東京で開催された“更年期と加齢のヘルスケア学会” 学術集会という医療関係者向けのお固い集まりで、「マスメディアからみたホルモン補充療法(HRT)について」のテーブル・ディスカッションの座長を努めていたのです。

私は、以前自分のブログで書いたとおり、自分が乳がんになったのは、数年前に受けたホルモン補充療法が原因であると強く疑っていて、ホルモン補充療法と乳がんとの関係について関心をもっていました。そのため、Nさんに、そのテーブルでの議論について、教えていただけないかと思いメールしたのですが、返事がなかったので、残念ですが、私のことに関心持ってもらえなかったのかなぁ・・・と思いつつ、自分もすっかり忘れていました。

もとい、Nさんは、私のメールを読んで、私の名刺にあった職場のPHSあてに、わざわざ電話を下さったのでした。彼女がまず私に言ったのは、「夜中に、あんな内容のメールを送られて迷惑だった。」「こんなメールに対して返事はしたくないが、ゆこさんのことが心配だから、いま職場あてに電話しているのだ。」とのこと。

さらに、彼女は、「ゆこさん、あんな時間(夜中)にメールなんて書くんじゃないわよ。心配するじゃないの。」と言うのです。確かに私はそのメールを、平日の1時半頃に書いていました。
私は、ここ数年、睡眠障害で、11時に布団に入るようにしているのですが、いつも1時半ころに目を覚ましてしまい、その後眠れなくなってしまうのです。睡眠導入剤にもお世話になっていますが、だんだん効かなくなってしまいました。さらに、再建手術をしてからは、ピーチ(再建中の左胸)が重たくて、寝返りを打てなくなったので、さらに熟睡するのが困難になっています。

私はメールについては、送った相手が自分の都合がいい時間に読んでもらえばいいし、特にお忙しい方のような場合は、もし読んでもらえたらラッキー!返事はもらえなくて当たり前という認識でいます。仕事をしていたらそんなもんです。(本当に返事が必要な場合は、嫌われようが、しつこく催促します・・。)

更に、彼女の言うことには、「人間は夜に文章を書いてはいけない。」のだそうです。 「なぜなら、夜に書く文章は、どんどん自分の世界に入ってしまい、そして、考え込みすぎてしまうから。」確かに私も自分のブログの記事を夜11時から1時位の間に書くことが多かったです。仕事から帰って、夕食を食べて、入浴して、犬たちのお世話をすると、ようやくその頃、やっと落ち着いて、自分のPCの前に座ることができるんです。

私のこのブログに書いている文章も彼女の言う「夜に書いた、暗い文章の典型」だそうで、「あなたのブログは、不幸を発信している。読んだ人の具合まで悪くなる!。そんな文章は発信すべきではない。」とまで、批判されてしまいました。そして、「がんになった原因は、現代医学をもってしてもわからないのに、ゆこさんが自分の乳がんの原因がHRTと疑ってみたところで、真相はきっとわからない。そんなことで悩むのは時間の無駄。」 

内心は、何もそこまで言わなくてもと思いました。必ずしも、全ての記事が暗いわけではなく、前向きに乳がんと再建治療に取り組んで行こうというメッセージも、書いてきたつもりです。ホルモン補充療法(HRT)についても、私のように早期更年期障害に悩んで、HRT治療を受けようと考えている女性に対し、乳がんにかかるリスクが増加することを認識してもらえればと思って書きました。
残念ながら、Nさんには、私の思いがうまく伝わっていないところが、あります。(私の言い訳・・・)

Nさんは、記者歴30年のベテランの社会問題の記事を書く立派な記者さんです。彼女のモットーは、「情報発信する記事は明るくなくてはならない!」。
そして「明るい文章を書くには、夜中に書いてはいけない」という、無理難題を私に要求するのです。

「私は、日中働いているんだから、夜しかPC使えないんですケド。」と言うと、「それなら朝、早く起きて時間を作りなさい。私はずっとそうしている」と言うのです。
でも、私は睡眠障害もあるので、正直、早起きは苦手です。それでも、出勤の準備のため、朝6時半に起きていますが、さらにこれより早く5時に起きろというのでしょうか。一日24時間しかないし、仕事と食事と生活に必要な時間でいっぱいいっぱいで、自由にできる時間の捻出が難しいのが多くの現代人の悩みだと思います。

Nさんは、「そんなのできない」と「でも・・」と繰り返す、かわいくない私を、辛抱強く説得し続け、最後には、私の方が根負けして、「わかりました。ごめんなさい。私、早起きしてみます。」と答えて(しまい)ました。

彼女と約束したこと。
「夜は、寝れなくても必ず寝る。ともかく寝る。」
「夜中にメールを書かない。送らない」
「早く寝て、早く起きて、平日ブログを書きたいなら、朝に書く」
「情報発信する内容は、読者が明るくなるような、前向きな内容にする。」
「自分ががんになった原因については、もう振り返らない。」
「がんについて、勉強したいなら、パソコンで情報収集などしていないで、大学や医療系の学校に入って、きちんとした先生について勉強する」
「年明け、Nさんにお目にかかって、直接、気合を注入してもらう」

Nさんは、新聞記者という社会的地位も確立されている、いうなれば情報発信の大家でいらっしゃいます。
そんな方に、こんなに面倒をかけて、申し訳なく思います。でも、こんないい年の私を、心配してくれて、そして、叱ってくれる人がいることを、とてもありがたいことだと思いました。
そして最後に「結局、がんと闘うのはあなた(ひとり)。弱くなってどうする!でも、ゆこさんががんばるなら、私は応援する」っと。世の中には、神様みたいな人っているんですね。[ぴかぴか(新しい)]

思えば、私は、病気になってから、大家というか名人というか、いや、プロフェッショナルというのがいいですね、その道の最前線を歩まれている方々に、数多くめぐり合っています。
例えば、私の主治医である乳がん治療と乳房再建の名医、がん患者のメンタルケアの名医、お薬の名医、乳がん情報発信NPOの代表、そして、病気関係以外では、まち塾という元役所OBのワセダの教授の呼びかけで始まった集まりを通じ、広報&イベント開催の大家、夢あるまちづくりの大家、人生を楽しく生きる大家?そして、今回のNさん等々、たくさんの尊敬できる方々に出会うことができました。

そして、これらの人たちに共通しているのは、私より年上であるということです。
最近活躍している人たちをみると、だいたい自分より年下で、なかには一回りも若かったりして、世代交代というか、もう自分が活躍できる時代は終わったんだと、諦めの気持ちになっていました。
でも、このように、自分よりも年上の方々が、プロフェッショナルとして、現在も各分野の最前線でご活躍され、いまの日本を支えているということがわかり、もしかしてこの私も、まだまだ捨てたものではない、いやこれからでも十分がんばれるんだと、勇気をもらうことができました。

2011年うさぎ年。私、年女でした。
3.11の東日本大震災と福島原発事故後の役所での激務の日々、そして、やっと落ち着いたと思ったら、今度は8月に乳がん発見と、私のこれまでの人生の中で、最も過酷な一年でしたが、振り返ってみれば、得たものも多く、結果としては、そんなに悪い年ではなかったのかもしれません。

さて、このブログの更新は、今年はこれでおしまいです。
来年からは、Nさんからの教えをいかし、みなさんが元気になるような明るい情報発信を心がけます。
そして、いよいよ、私の乳がん情報発信のNPOでの活動も本活的に始ります。
健康第一。無理しないでがんばります。


◯最近読んだ本(おすすめ度 今回も3冊とも★★★)

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乳がんを抱きしめて ~39歳で乳がん患者だった私の治療記~
小堀 昌子 (著), 中村 清吾 (監修)

聖路加病院の人気の名医、中村清吾先生(現在は昭和大学病院ブレストセンター長)の患者さんの治療の記録です。彼女はまだ若いのに、乳がんという厳しい事実を冷静に受け入れ、前向きに治療に取り組み、そのことについて、しっかりとした文書で書き綴っています。
彼女のいわゆる名医と呼ばれる超多忙な主治医との上手なつきあいかた、コミュニケーションのとり方についての独特の考え方がおもしろくて、参考になりました。人間同士なので患者と医師との間にも相性はある思うし、特に乳がんの場合、医師との付き合いが長くなるので、自分に合う主治医と巡り会えた小堀さんは、ラッキーだと思います。
彼女は、故郷を離れ都会で一人暮らしで、自分の両親にさえ乳がんであることを告げずに、がんと闘いました。もちろん頼もしい社長さんやお友達の存在があったから、がんばれたのだと思いますが、もう少し、誰かに甘えても、そして、たまには泣いてもいいんじゃないかな。と思いました。小堀さん、あなた強すぎます。



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がん常識の嘘
渡辺 亨 浜松オンコロジーセンター長


私が、「微小転移」のことを知り、その後、再発と転移の恐怖に怯えることになった原因が、実はこの渡辺先生のイカロス・ムック「乳がん最新治療と乳房再建」という雑誌に掲載された、特集記事を読んだのがきっかけです。
それは、乳がんの摘出手術が無事に終わり、これでがんとはおさらばだしたわ、と平和&幸せな気分に浸っていた矢先でした。早期発見・早期治療したから、私のがんはきれい、さっぱり治って、私の命は助かったんだと思っていたのに、実はそれは、違うという厳しい現実に気づかされました。
しかし、この本と、前回紹介した慶應病院の近藤誠先生の本を読んだおかげで、私はかなり冷静に再発と転移についての現実を受け入れることができました。そして再発と転移の恐怖と闘う覚悟(のようなもの)もできました。 


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テルマエ・ロマエ (BEAM COMIX)< 最新は第IV巻です。>
ヤマザキマリ


10月に入院した時、役所の同期のM子ちゃんが、お見舞いに差し入れしてくれたコミックです。表紙が、裸の古代ローマ人のかなり恥ずかしい絵だったので、なんでツライ病気で入院している私に、こんな本を選ぶのかとM子ちゃんのセンスをちょいと疑いました。しかし、読み始めると、ものすごく面白くて、消灯時間が過ぎても、ついつい遅くまで、読みふけってしまい、おかげで入院生活の後半、退屈しないで済みました。M子ちゃん、改めてありがとう!
内容は、ズバリ「お風呂」です。説明するよりも、おもしろいので読んでみてください。かなり笑えます。電車の中では要注意です。来年1月からはアニメ化、そしてGWには阿部寛主演でロードショーです。

<以下12/31追加しました。今度こそ、See you next year !>

◯再建中のゆこさんが、年末に心配になったニュース(ロイター電)[がく~(落胆した顔)]

テレビのニュースでちらっとみたタイトルが「仏製の豊胸用シリコンが爆発!」だったので、驚きました。ソースとなっているロイターの記事を読んでみたら、シリコン自ら爆発したのではないし、(原文に使われている単語:deflation収縮、rupture 破裂)、問題が起こったのは、10年以上も前に製造されたPIP社の生理食塩水のバック(工業用ジェルの混入が原因)だったようです。私が再建を受けるBSクリニックで使用するシリコンバッグとは違うので安心しました。

日本の報道は、ニュースとして発信する前にもっと事実確認してほしいし、このニュースで困惑することになる乳がん患者を含む、世界中の多くの女性のためにも、このようなセンセーショナルな取り上げ方をしないでほしいと思いました。[ちっ(怒った顔)]

ロイターの記事
・FDA warned PIP on breast implant safety in 2000 (Washington, Dec 28, 2011)
http://www.reuters.com/article/2011/12/28/us-breastimplants-fda-idUSTRE7BQ03M20111228

・豊胸材の安全性、専門家は長期に渡るケアが必要と警告 (2011,12,28 ロンドン)
http://www.asahi.com/international/reuters/RTR201112280012.html

◯You tube へのリンク
Stand Alone Sarah Brightman
http://www.youtube.com/watch?v=GZ6lz6Q0jpI&feature=related http://www.youtube.com/watch?v=4jSbLq56a5s&feature=related

はてなき想いを 明日の風に乗せて。

(Sarahのおまけ)
オトナのお別れの曲です。2011年のいやだったことにsay good- bye!
Time to say goodbye
http://www.youtube.com/watch?v=vl6h7UWo1_Q&feature=related

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